システムを導入しようと思えば、自社内に開発要員を持たない限り、外注して開発を依頼することになります。
システムハウスの種類
システムハウスは、大雑把に分類すると「メーカー系」「ユーザー系」「独立系」の3つに分類できます。簡単にそれぞれの特徴を挙げておきます。
メーカー系システムハウス
メーカー系はIBM・富士通・日立・東芝・NEC等の、ハードウェアを供給している会社及びその子会社です。
そもそもシステム導入黎明期のソフトは、ハードを売るためのおまけみたいなものでした。当時はメーカー系のSEやプログラマーが大部分を開発していたと思います。現在の開発手順やコーディングリファレンスを築きそれを普及させていったのはメーカー系の功績ではないでしょうか。
オープン化が進んだ昨今では自社ハードによるアドバンテージは低くなりつつあると思いますが、技術力は間違いなく一番だと思います。それに比例して単価も高めですが……。
ユーザー系システムハウス
大企業が次々にシステム導入を進め運用段階に入ってくると、社内システムの保守管理を行う必要が出てきます。当初は、メーカー系に依頼してシステムのメンテナンスを行っていたと思いますが、費用対効果や速効性を考慮し、社内にシステム部門を設けることになります。
しかし、本来業務とはかけ離れたシステム部門の存続には懐疑的な意見もあり、本体とは切り離して子会社化されて誕生してきたものです。
基本的には親会社システムの保守管理をメインとしていますので、積極的に外に対して営業することは余りないとは思いますが、社内でよくできたシステムの開発に成功すれば、パッケージ化して売り出すこともあるでしょう。
総合的な技術力はメーカー系に譲るにしても、常にユーザーに密着してシステムを開発・保守していますので、業務を熟知した上での「使えるアプリケーション設計能力」は高いと思います。
独立系システムハウス
設立の背景は様々だと思いますが、現在最も多く存在しているシステムハウスです。
メーカー系ほど敷居は高くないですし、ほとんどの中小企業では、地元の独立系に発注をされていると思います。
現状では強力な武器(技術力、単価等)を持つか、大手との提携がなければ生き残ることが厳しい状況かもしれません。また、開発の下請けが売上の多くを占めるにしたがい、プログラミングスキルは高くても、提案力にはやや弱みを持っているのではないかと思います(全ての工程(営業~納品)を1社でこなせるスキルがあれば、メーカー系に負けないとは思いますが……)。
しかし、発注側に管理・設計スキルがあり、開発部分のみを外注したいと考えるならば、費用対効果の面で、最もメリットが感じることができると思います(「メーカー系に発注したのに、実際に開発しているのは地元の独立系だった!」なんてことはよくあることです)。
見積りを取る
システムに精通した購買担当者がいれば、およその見積額を念頭にシステムハウスと交渉できると思いますが、大企業でもなければそのような担当者はいないと思います。取りあえずシステムハウスに相談し、見積りを出してもらうことになると思います。
要求分析書から、システムの概要(目的・機能など)は把握できますが、ユーザー視点で出された要求だけでは、システム化するには情報が足りません。時間を掛けて、ある程度イメージが共有できた所で見積りを出してもらいましょう。
「出された見積額が妥当なのか?」発注担当者にとって最初のハードルが立ちはだかりますが、それを見極めるのは簡単ではありません。複数の業者を呼んで、相見積りを取る方法もありますが、安ければ良いというわけでもありませんしね。大切なことは、人(会社)を見て判断すること。それは「提案内容を見抜く知恵を持つこと」だと思います。
システム導入にかかる費用は3つあります。
- ソフトウェア料金
- ハードウェア(インフラ)料金
- 保守管理料金
これらが揃ってコンピュータシステムは動くわけですから、全て含んだ見積りが出ていることを確認してください。
ソフトウェア料金
ソフトウェア料金とは「開発規模×ステップ単価」ではじき出された金額です。
ソフトウェアとは、1ステップ(行)の命令文を積み上げて作られたプログラムの集まりであり、総ステップ数が「開発規模」になります。「ステップ単価」とは、システムハウス個々の設定金額(言い値)です。
要求として提示された画面や帳票を分析し、必要なステップ数を積算して「開発規模」を導き出します。もう少し説明が必要ですか?続きは【開発費用のお話(補足)】に補足しておきます。
ハードウェア料金
提示されたハードウェア(サーバー、パソコン、ネットワーク機器など)は、インターネットで検索すれば、適正かどうかの判断は容易だと思います。しかし大事なポイントは、どのような基準(「利用者数」「データ処理件数」「保守性」「将来性」など)で選定したのかを確認することです。予算額ありきの価格調整で選定されては、後々不満が出ることになるでしょう。
保守管理料金
ハードウェアトラブルやプログラムのバグ(欠陥)、導入後に気付く仕様変更は、決してゼロではありません。有償・無償をケースごとに明確にし、保守契約を結ぶべきです。また、社員への事前教育も、考慮しておくべきポイントかもしれません。
システムハウスとの付き合い方
同業他社のシステムを過去に開発していたとしても、「システムエンジニアには業務知識はない」と思ってください。
大まかな流れや、どのようなデータベースが必要かはイメージしているとは思いますが、会社によって言葉の違いがありますし、ローカルルールが存在します。新人に教えるように業務を説明してあげてください。
また、システムハウスを単なる外注と捕らえることもお勧めしません。一旦システムを導入すれば、そのシステムは会社の存続を左右しかねない強力な戦略ツールとなります。
馴れ合いは、責任の所在があやふやになるので避けるべきですが、ビジネスパートナーとして迎え入れ、システムハウスに蓄えられた情報も活用させてもらうべきです。
発注先を選ぶ決め手は実績
システムハウスはそれぞれ得意分野を持っています。勘定系が得意でも生産管理は経験がないとか、生産管理はできても会計処理はできないなど、欲する物と同様のシステムを過去に開発しているのかチェックしましょう。